太陽光パネルの点検は本当に必要なのか
太陽光発電システムは設置後20年以上発電を続けるといわれますが、実際には使用環境やパネルの品質によって劣化の度合いが大きく異なります。特に設置から15年を過ぎるころには、当初の性能を維持できず発電効率が低下しているケースが少なくありません。
それでも多くの家庭では「まだ発電しているから」とそのまま使い続けており、点検の必要性に気づきにくい状況があります。
太陽光パネル点検の必要性
15年以上経過したシステムに潜むリスク
長期的な経済メリットにつながります
なぜ今、太陽光パネルの点検が重要と言われているのか
近年は電気料金が上がり続け、売電価格は下落しています。
初期投資を回収し終えた世帯にとっても、発電効率の低下や機器の故障は収益に直結する問題です。
点検によって現状の発電能力や劣化具合を把握し、適切な対策を早めに検討することが、経済性維持の観点から重要になっています。
設置から15年〜20年経過している家庭が増えている背景
2009年の余剰電力買取制度開始を機に太陽光発電の導入が急増したため、2025年現在は稼働から15〜20年を迎えるシステムが多く存在します。
技術の進化により新しいパネルは高効率ですが、当時の機器は経年劣化が進みやすく、点検や部品交換が必要になる時期に差しかかっています。
点検をせずに使い続けている人が多い理由
太陽光パネルは動作音もなく、見た目にも異常がわかりにくいため、「問題が起きていない」と考えてしまいがちです。
また、電力会社からの明細が紙で届かなくなり、売電量や発電効率の変化を把握しにくいことも理由の一つです。
こうした状況が点検の遅れにつながり、結果的に大きなロスを招いている例が増えています。
太陽光パネルはどのくらいで劣化・故障するのか
一般的に太陽光パネルの公称寿命は20〜25年ですが、実際の発電効率は年数とともに徐々に低下します。
設置から20年近く経った設備は、当初の半分程度まで効率が落ちている例もあります。
特に1990〜2000年代に導入されたパネルは、当時の技術水準や素材の違いから劣化の進行が早い傾向があります。
太陽光パネルの劣化進行
経過年数と発電効率の推移
設置から15年を過ぎると劣化が加速します。発電効率が70%を下回ると経済性が大きく低下するため、早めの点検をおすすめします。
太陽光パネルの一般的な耐用年数と実際の寿命
メーカー保証は10〜15年が主流で、これはパネルが故障なく動作する期間を示します。
実際には保証期間を過ぎても発電は続きますが、セルの劣化や表面の汚れ、コネクタ部分の腐食などで出力が低下します。
発電量が安定しているように見えても、長期的には発電効率が下がり続ける点に注意が必要です。
20年近く使われている太陽光パネルの実情
20年が経過したシステムでは、太陽光セルの表面にマイクロクラック(微細な亀裂)が発生していたり、内部配線の劣化で一部が発電しなくなっているケースがあります。
京セラやシャープといった国内メーカーの旧製品が多数占めるため、部品供給の状況や交換方法についても理解しておくべきでしょう。
劣化が進んでも「発電はしている」ため気づきにくい問題
太陽光発電は多少劣化しても発電を続けるため、不調を感じにくいのが特徴です。
しかし、発電量が50%程度に落ちているにもかかわらず、長年そのまま使用している例も報告されています。
点検を実施しなければ、発電ロスによる損失が積み重なり、結果的に大きな収益減につながります。
発電量が50%近くまで低下しているケースもある
表面の汚れや経年によるセルの疲労、雨水の侵入による配線の腐食などが重なると、発電量は大きく低下します。
それでも完全に発電が止まるわけではないため、ユーザーが異常に気づきにくいのです。
特に降雪地域や海沿いの高温多湿地域では劣化が進みやすく、定期的な点検が重要となります。
太陽光パネルの劣化・故障で起きやすい症状
劣化や故障が進行すると発電量の低下以外にも様々な症状が現れます。
ここではその代表例を紹介します。
発電量が徐々に下がるケース
最も典型的な症状が、年間を通しての発電量が減少するケースです。
パワーコンディショナの出力に波が出る場合や、晴天時でも期待値に満たない出力しか出ない場合には、パネル自体の劣化や内部配線の抵抗増大が考えられます。
パワーコンディショナや周辺機器との関係
発電した電気を家庭で使える電力に変換するパワーコンディショナも、10〜15年程度で寿命を迎えます。
コンディショナの故障がパネルの不調と混同されることが多く、点検では両方の状態を確認する必要があります。
また、接続箱や配線の劣化も発電量低下の原因となります。
表面では分かりにくい内部劣化
セルの裏側で端子が腐食していたり、コネクタ部分が緩んでいる場合でも、外観からは異常が分からないことが多いです。
パネル内部の電流を測定しないと検知できないため、専門的な点検が欠かせません。
故障していても完全に止まらないため放置されやすい理由
太陽光パネルは一部のセルが機能しなくなっても、残りのセルが発電を続けます。
この「部分発電」状態では全体の出力が落ちるものの、完全に停止しないため、不調に気づきにくく放置されがちです。
こうした状態を放置すると劣化がさらに進行する恐れがあります。
電気代・売電価格と太陽光の経済性の変化
太陽光発電の導入当初は高い売電価格が魅力でしたが、現在は制度が変わり、経済的な状況が大きく変化しています。
売電価格と買電価格の推移
2009年 vs 2025年の価格比較
売電より自家消費の方が経済的!
2009年は売電48円、買電23円で差額25円のメリット。2025年は売電10円、買電27円で逆転。発電した電気は売るより自分で使う方が17円/kWh節約できます。
売電価格が下がり、買電価格が上がっている現状
2009年頃の売電価格は48円/kWh前後でしたが、2025年時点では10円台まで下落しています。
一方で一般家庭の買電単価は上昇しており、昼間の発電分を自家消費する方が経済的になる傾向にあります。
昔は問題なかった発電量でも今は採算が合わない理由
発電効率が90%でも採算が取れていた時期と比べ、現在は売電単価が低く、買電単価が高いため、効率が70%以下になると収益がほとんど出ない場合があります。
古いパネルをそのまま使い続けることで得られる利益が減り、点検や交換の必要性が高まっています。
発電効率が落ちると経済性にどれほど影響するのか
例えば、設置当初年間5,000kWh発電していたシステムが20%劣化して4,000kWhしか発電しなくなった場合、年間1,000kWh分を電力会社から購入することになります。
買電単価が27円/kWhであれば年間27,000円の負担増となります。
この影響は年数が経つほど積み重なります。
電気料金明細が紙で届かなくなり、変化に気づきにくくなっている
最近はオンラインでの明細提供が主流になり、紙の明細が郵送されない家庭が多くなりました。
そのため月々の売電量や買電量の変化に気づきにくく、発電効率低下を見逃しがちです。
定期的にデータを確認し、発電量が例年より落ちていないかチェックすることが大切です。
太陽光パネル点検で分かること
点検は単なる見回りではなく、発電システム全体の状態を詳細に調べる重要な作業です。
太陽光パネル劣化症状チェックリスト
以下の症状がある場合は点検をおすすめします
1つでも当てはまる場合は専門家による点検を
これらの症状は複合的に発生することが多く、放置すると発電効率のさらなる低下や安全上のリスクにつながります。設置から15年以上経過している場合は特に注意が必要です。
点検で確認する主な項目
点検では、パネルの表面状態のチェック、汚れや破損の有無、電流・電圧測定、パワーコンディショナの出力確認、接続箱や配線の抵抗値計測などを行います。
また、設置架台の腐食や固定状態も確認し、風や地震によるトラブルを防ぎます。
発電量・劣化状況・安全性のチェック内容
点検によって実際の発電量と理論値を比較し、劣化率を算出できます。
これにより今後の見込み発電量や残り寿命の目安がわかります。
また、漏電や火災のリスクがないか、パネルの固定が緩んでいないかなど安全性の観点からもチェックします。
点検をすることで初めて見える「本当の発電効率」
外観だけでは分からない内部劣化や配線トラブルも、電気測定によって初めて発見できます。
点検結果を分析することで、現在の発電効率が何%なのか、どれくらいの修理や交換が必要かを具体的に把握できるため、今後の判断に役立ちます。
点検結果から分かる今後の選択肢
点検によって「まだ十分に使える」「部分的に修理が必要」「パネルごと交換した方が良い」といった結論が導き出されます。
発電ロスと修理費用のバランスを考慮しながら、最適な選択肢を見極めることができるのです。
太陽光パネルの点検は無料なのか
Web広告などで「無料点検」と謳うサービスも見かけますが、実際には現場調査や測定に人手と時間がかかるため、完全無料で行えるケースは多くありません。
無料点検が少ない理由
点検には専門の測定機器や高所作業が必要で、最低でも数名の技術者が現場に赴きます。
そのため、企業が無料で提供するとコスト負担が大きく、後々の売り込みにつながる場合もあるため注意が必要です。
実際の点検は人手と時間がかかる作業
一般的な住宅用システムの点検でも、4〜5人のスタッフで2〜3時間かけて行うことが多いです。
パネルの状態だけでなく、屋根裏や分電盤周りの確認も含まれるため、手間とコストがかかります。
複数人での調査が必要になる理由
発電効率の低下はさまざまな要因が複合的に絡んでいる場合が多く、電気専門の技術者、屋根工事の職人、場合によっては外壁施工の経験者など複数の専門スタッフが必要です。
安全確保のためにも十分な人員と設備が求められます。
有料点検でも価値があるといえるケース
有料点検は費用がかかりますが、その結果としてパネル交換や修理に適切なタイミングで踏み切ることができ、長期的な発電ロスを防げるメリットがあります。
数万円の点検費用で数十万円の損失を避けられるのであれば、十分に投資する価値があります。
太陽光パネルは「どこでも」点検・交換できるわけではない
新築時の太陽光システム設置と、既存パネルの点検・交換では求められる技術が異なります。
古いパネルの交換には特有の難しさが存在します。
新規設置と既設パネルの点検・交換は別物
新規設置の場合はメーカー推奨の工法に従って行いますが、既設パネルを交換する際には現地の屋根構造や配線状態を考慮しつつ作業する必要があります。
古い架台に新しいパネルを固定できない場合もあり、追加工事が発生しやすくなります。
パネルのみの交換が難しい理由
古いパネルと最新パネルでは寸法や出力が異なるため、既存のパワーコンディショナや配線と適合しないケースがあります。
さらに、架台の耐久性や接続方法が違うため、単純なパネル差し替えでは済まないことが多いのです。
古いシステム特有の技術的な注意点
かつて主流だった京セラやシャープ製パネルは、現在の基準と比べ出力が小さいものが多く、性能差が大きくなりやすい点が挙げられます。
交換する場合はパワーコンディショナや配線の更新もセットで考える必要があり、施工業者の経験や知識が重要になります。
実績のある業者を選ぶ重要性
太陽光システムの点検・交換は専門技術を要するため、実績の豊富な業者に依頼することが安心につながります。特に古いパネルの交換実績が多い業者であれば、突発的なトラブルにも柔軟に対応してもらえるでしょう。
20年前後の太陽光パネルで多いメーカーについて
設置から20年が経過した太陽光パネルのほとんどは、2000年代に国内で人気だったメーカー製です。
例えば京セラやシャープは当時の導入件数が多く、いまでも多くの家庭で使用されています。
こうしたパネルは寿命が近づいており、劣化傾向や交換方法などの情報を別途調べておくと良いでしょう。
点検後に考えられる選択肢
点検の結果、いくつかの選択肢が示されます。発電効率や費用対効果を比較し、今後の方針を決めましょう。
点検後の選択肢フローチャート
劣化度合いに応じた最適な対応を選びましょう
+
メンテナンス
・目立った故障なし
交換
・パワコン寿命
全交換
・パネル寿命間近
選択のポイント
現在の売電価格や電気代、今後の使用年数を考慮して判断しましょう。発電効率が70%を下回る場合は、修理費用と今後の発電ロスを比較し、パネル交換も視野に入れることをおすすめします。
そのまま使い続ける場合の注意点
劣化が軽度であれば、清掃や部分補修のみで引き続き使用する選択もあります。
しかし、発電効率が下がっていることを認識し、売電価格や電気代を継続的にチェックする必要があります。
パワーコンディショナのみ交換するケース
パワーコンディショナの寿命は10〜15年なので、点検で劣化が確認されたら交換を検討します。
パネルの劣化が軽度であればコンディショナのみ交換することで全体効率を改善できます。
太陽光パネルの交換・改修を検討するケース
パネルの劣化が著しい場合や、出力低下が大きい場合は、パネルごと交換する方が経済的です。
最新の高効率パネルに更新することで発電量が大幅に改善し、将来的な売電収入や自家消費効果も向上します。
今後の電気代・売電を踏まえた判断基準
売電単価が低下している現在は、自家消費を重視したプランニングが重要です。
発電量が下がり続ける古いシステムを使い続けるより、新しいパネルや蓄電池への投資を行う方が長期的に経済メリットが大きくなるケースもあります。
太陽光パネル点検を検討すべきタイミング
以下のような状況に該当する場合は、専門家による点検を検討しましょう。
点検を検討すべきタイミング
以下の項目に1つでも当てはまる方は点検をおすすめします
現状把握と適切な対策で、発電ロスを防ぎましょう。
点検のタイミング
発電量のチェックは年に1〜2回、晴天の日の正午前後に確認するのがおすすめです。モニターやアプリで発電量を記録しておくと、変化に気づきやすくなります。
システム
可能性
ロス削減
年数や発電量の変化だけでなく、屋根の修理やリフォームを検討しているタイミングで点検を併せて行うと効率的です。
まとめ
太陽光パネルの点検は、寿命を迎えた頃に慌てて行うものではなく、発電効率や経済性の変化を見極めるための定期メンテナンスです。
設置から15年を過ぎると劣化が進み、発電量の低下や収益悪化につながる可能性があります。
売電価格の下落と電気料金の上昇という状況を踏まえると、早めに点検を行い、パネルや関連機器の状態を把握することが重要です。
点検結果を基に、部分補修、パネル交換、最新システムへの更新などの選択肢を比較し、家計にとって最も経済的な判断を下しましょう。
