IH交換ガイド|寿命の目安・費用・選び方・工事の流れまでわかる総まとめ

IHが故障

IHコンロやIHクッキングヒーターは安全性が高く、お手入れがしやすいことから多くの家庭で普及しています。
一方で、寿命が来たときの交換時期や費用、ガスから切り替える場合の注意点など、気になるポイントは多いものです。

本記事では、IH交換を検討する方に向けて、寿命の目安、費用相場、工事の流れ、エラーコードの意味まで、一つひとつ丁寧に整理して解説します。

エラーコード早見表はこちら


IHコンロの寿命と交換時期の目安

一般的にIHクッキングヒーターの寿命は10年程度と言われています。ただし、実際には使用頻度や設置環境によって変動が大きく、弊社では平均8年前後で交換に至るケースが多く見られます。家族構成や調理頻度が高いご家庭では、早めの交換が必要になる場合もあります。

交換のサイン

次のような症状は、交換を検討するタイミングです。

  • 電源が入りにくい、突然落ちる
  • 火力が安定しない、温度の反応が遅い
  • エラーコードが頻繁に表示される
  • 異臭、異音、過熱などの不審な動作
  • 操作ボタンの反応が悪い

10年近く使用している場合は部品交換よりも本体交換の方が得策です。


大手メーカーの代表的なエラーコード

ここでは普及率の高い国内メーカー上位3社(パナソニック・日立・三菱電機)の代表的なエラーコードを紹介します。

コード 症状・対処方法
H03 トッププレートの温度異常
対処法:使用を中止して30分以上冷却。トッププレートに汚れや焦げ付きがあれば清掃。繰り返す場合は点検が必要です。
H05 鍋検知エラー(対応鍋でない可能性)
対処法:IH対応の鍋かを確認。鍋底が変形していないか、汚れていないかチェック。鍋を置き直してみてください。
H16 内部温度異常(基板の過熱など)
対処法:吸気口・排気口の掃除。ブレーカーを切って1時間冷却後に再起動。改善しない場合は修理依頼が必要です。
U10 フィルター詰まり・吸気不足
対処法:本体下部の吸気口フィルターを外して掃除。ホコリや油汚れを除去し、乾燥させてから取り付けてください。
F12 内部センサー異常
対処法:電源をオフにして10分待機後に再起動。それでも表示される場合はセンサー故障の可能性があり、修理が必要です。
コード 症状・対処方法
F0 鍋なし検知
対処法:IH対応の鍋を使用しているか確認。鍋底の汚れを拭き取り、中央に正しく置いてください。小さすぎる鍋も検知されません。
F12 トッププレート温度異常
対処法:使用を停止して冷却。トッププレートを清掃し、換気を良くしてください。頻発する場合は温度センサーの劣化が考えられます。
F16 内部冷却ファン異常
対処法:本体の吸排気口を掃除。ファンに異音がする場合は故障の可能性。電源を切って冷却後も改善しなければ修理が必要です。
H27 IHコイルの異常
対処法:電源を完全に切って30分待機。再起動しても表示される場合は加熱コイルの故障が疑われ、専門業者への依頼が必要です。
H98 内部温度センサー異常
対処法:ブレーカーを落として10分後に復帰。解消しない場合は温度センサーの故障で、部品交換または本体交換が必要です。
コード 症状・対処方法
E01 鍋未検知
対処法:IH対応マークのある鍋を使用。鍋底とトッププレートを清掃し、鍋を中心に置き直してください。変形した鍋は検知されにくくなります。
E03 内部温度の異常上昇
対処法:すぐに使用を中止して冷却。吸排気口のホコリを除去し、周囲の風通しを確保。連続使用時間が長すぎる場合も発生します。
E06 過電流異常
対処法:ブレーカーを確認し、他の電化製品と同時使用を避ける。電源コードの接続を確認。頻発する場合は配線または本体の問題が考えられます。
E13 冷却ファン異常
対処法:ファン周辺の掃除を実施。異音がする場合はファンの故障。電源リセット後も改善しなければ修理依頼してください。
E31 温度センサー異常
対処法:電源を切って15分以上放置後に再起動。センサーの故障が疑われる場合は、使用年数によっては本体交換を検討してください。

頻発する場合は内部パーツの劣化が進んでいる可能性が高く、使用年数が長い場合は交換をおすすめします。


ガスコンロからIHに交換するメリットと注意点

最近ではガス代の高騰により、電気を使うIHの方が光熱費を抑えやすいケースが増えています。
さらに、太陽光発電システムがある家庭では、発電した電気をそのまま調理に使えるため、IHは非常に相性が良い設備です。

ガス→IHのメリット

  • 火を使わないため安全性が高い
  • 掃除がしやすく、天板をさっと拭くだけで清潔を維持できる
  • 温度制御が正確で、加熱ムラが少ない
  • キッチンが暑くなりにくく、夏場も快適
  • 太陽光の自家消費と相性抜群

注意点

  • 200V電源工事が必要になる場合がある
  • IH対応の鍋に買い替えが必要
  • 焼き目や強火調理の感覚がガスと異なる

据え置き型とビルトイン型の違い

IHクッキングヒーターは大きく2種類に分かれます。

据え置き型 vs ビルトイン型 徹底比較
どちらのタイプが自分に合っているか、項目別に確認しましょう
比較項目 📦据え置き型 🔲ビルトイン型
外観・設置 キッチン台の上に置くタイプ。
シンプルで存在感が控えめ。
システムキッチンに埋め込むタイプ。
天板とフラットで一体感がある。
工事の必要性 工事ほぼ不要
100Vモデルなら設置のみで使用可能。
賃貸でも導入しやすい。
専門工事必須
キッチン天板の加工が必要。
電気工事士による配線工事を伴う。
メリット
設置が簡単で引越し時も持ち運べる
初期費用が安い
賃貸住宅でも使用可能
見た目がスッキリして高級感がある
掃除がしやすく汚れが溜まりにくい
火力が強く調理性能が高い
デメリット
見た目が簡易的になりがち
隙間に汚れが溜まりやすい
火力が弱いモデルが多い
交換時に工事費用がかかる
賃貸では原状回復が必要
本体価格が高め
電源 100Vモデルが主流
通常のコンセントで使用可能。
※200Vモデルも一部あり
200V専用回路が必須
高火力で調理効率が良い。
新規配線工事が必要な場合あり。
本体価格 3万円〜10万円 手頃な価格帯 7万円〜25万円 高機能モデルは25万円以上
工事費用 0円〜2万円 100Vなら工事不要の場合も 2万円〜10万円 200V配線新設の場合はさらに増額
おすすめな人 • 賃貸住宅にお住まいの方
• 初期費用を抑えたい方
• 引越しの予定がある方
• まずはIHを試してみたい方
• 持ち家で長期使用予定の方
• キッチンの見た目にこだわる方
• 本格的な調理を楽しみたい方
• システムキッチンを導入済みの方

据え置き型

キッチン台の上に置くタイプ。

  • メリット:工事が少なく設置しやすい
  • デメリット:見た目が簡易的になりやすい

ビルトイン型

システムキッチンに埋め込まれたタイプ。

  • メリット:見た目がすっきり、掃除も楽
  • デメリット:交換時は工事が必要

電源とコンセント

  • 多くのビルトインIHは200V専用回路が必要
  • 据え置きは100Vモデルも存在するが火力は弱め
  • 200Vがない場合は電気工事が必要となる

ここを理解しておくと、見積もり時の差額理由が明確になります。


自分で交換する場合と業者に依頼する場合

自分で交換するケース

据え置き型の100VモデルであればDIY交換が可能です。ただし、注意点も多いです。

  • 配線に触れる作業は電気工事士資格が必須
  • 重量があるため危険が伴う
  • 設置ミスが発火などのリスクにつながる
  • メーカー保証が受けられないこともある

業者へ依頼するケース

ビルトイン型・200Vモデルは業者依頼が基本です。

  • 正規の工事で安全性が高い
  • 旧機器の撤去・処分まで対応
  • 設置不良の心配がない
  • 保証面が安心

IH交換の一般的な工事の流れ

依頼すると、以下のステップで進みます。

IH交換工事の流れ
依頼から完了まで、5つのステップで安心施工
1
📋 事前調査
現地調査を行い、設置環境や必要な工事内容を確認します。この段階で正確な見積もりが出せるようになります。
確認項目
  • キッチンの寸法・設置スペース
  • 電源配線の状況(100V/200V)
  • 分電盤の容量と空きブレーカー
  • 既存機器の撤去方法
⏱ 所要時間: 30分〜1時間
2
🔧 旧機器の撤去
既存のIHコンロまたはガスコンロを慎重に取り外します。天板や周辺を傷つけないよう丁寧に作業します。
作業内容
  • 電源・ガス配管の安全な切り離し
  • 本体の取り外しと搬出
  • 設置面の清掃と確認
  • 不要機器の適正処分
⏱ 所要時間: 30分〜1時間
3
電気工事
200V専用回路の確認または新設を行います。ブレーカーの増設が必要な場合もこの段階で実施します。
工事内容(必要に応じて)
  • 200V専用回路の新設配線
  • 分電盤へのブレーカー増設
  • アース工事の実施
  • 配線の絶縁チェック
⏱ 所要時間: 1時間〜3時間(配線状況による)
4
🔩 新しいIHの設置
新しいIHクッキングヒーターを設置し、配線接続・固定・動作確認を行います。
設置作業
  • 本体の設置位置調整
  • 電源配線の接続
  • 固定金具の取り付け
  • 全口の加熱テスト
  • 安全装置の動作確認
⏱ 所要時間: 1時間〜2時間
5
引き渡し・説明
動作確認が完了したら、基本操作や注意点を説明して引き渡しとなります。
お客様への説明
  • 基本操作方法のレクチャー
  • 便利機能の使い方紹介
  • お手入れ方法とメンテナンス
  • 保証内容・アフターサービスの案内
⏱ 所要時間: 15分〜30分
🎉 工事完了!快適なIH生活のスタートです

IH交換の費用相場

IH交換の費用相場
本体価格と工事費の内訳を詳しく解説
💰 本体価格
機種タイプ 価格帯
据え置き型(100V)手頃 賃貸・初めてのIH導入におすすめ 3万円〜7万円
据え置き型(200V) 火力重視の据え置きタイプ 5万円〜10万円
ビルトイン型(標準)人気 システムキッチン用・基本機能充実 7万円〜15万円
ビルトイン型(中級) グリル機能・タイマー等の便利機能付き 15万円〜25万円
ビルトイン型(高級) 音声操作・自動調理・最新機能搭載 25万円〜40万円 ※海外製含む
🔧 工事費
工事項目 費用相場
基本交換工事必須 既存機器の撤去・新規機器の設置・動作確認 1.5万円〜3万円
撤去・処分費 旧機器の運搬・リサイクル処分 5千円〜1万円
200V専用回路新設条件付き 分電盤から配線を引く工事(配線長により変動) 2万円〜6万円 ※距離・配線状況次第
ブレーカー増設 専用ブレーカーの追加工事 1万円〜2万円
分電盤交換容量不足時 分電盤全体の交換(容量アップ) 5万円〜10万円 ※容量・機種により変動
ガス配管撤去・キャップ処理 ガスからIHへの切替時のみ 1万円〜3万円
天板加工 システムキッチン天板の穴開け・調整 1万円〜2万円
💡 ケース別の総額目安
【ケース1】据え置き型・最小構成
本体(100V据え置き): 5万円
基本工事: 1.5万円
処分費: 5千円
合計: 約7万円
【ケース2】ビルトイン・200V既設
本体(ビルトイン標準): 12万円
基本工事: 2.5万円
処分費: 8千円
合計: 約15.3万円
【ケース3】ビルトイン・200V新設
本体(ビルトイン標準): 12万円
基本工事: 2.5万円
200V配線新設: 4万円
ブレーカー増設: 1.5万円
処分費: 8千円
合計: 約20.8万円
【ケース4】ガス→IH・分電盤交換
本体(ビルトイン中級): 18万円
基本工事: 2.5万円
200V配線新設: 4万円
分電盤交換: 7万円
ガス配管処理: 2万円
処分費: 1万円
合計: 約34.5万円
⚠️ 注意事項: 上記は一般的な相場です。電源環境、キッチンの状況、建物の構造によって費用は大きく変動します。必ず現地調査のうえ、お見積もりを取ることをおすすめします。

本体価格


電気代の目安

IHは熱効率が高く、電気代は月1,000円〜2,000円ほど増えることが一般的です。ただし、ガス代が大きく減るため、トータルコストとしては IHの方が安くなるケースが増えています。特に昨今のガス料金上昇をふまえると、IHを選ぶメリットは大きくなっています。

太陽光発電がある家庭では、自家消費によってさらにコストを抑えられます。

ガスコンロ vs IHクッキングヒーター 徹底比較
どちらがあなたのキッチンに最適?項目別に詳しく比較
🔥
ガスコンロ
  • 停電時も使用可能
  • 強火調理で本格的な炒め物
  • 鍋の種類を選ばない
  • 直火で焼き目がつく
  • 火災リスクがある
  • 掃除が大変(五徳など)
  • 夏場にキッチンが暑くなる
  • ガス代が高騰傾向
本体: 3万円〜15万円
月額: 3,000円〜6,000円
VS
IHクッキングヒーター
  • 火を使わず安全性が高い
  • 掃除が簡単(フラット天板)
  • 温度管理が正確
  • 夏場も快適(熱くならない)
  • 太陽光と相性抜群
  • IH対応鍋が必要
  • 停電時は使えない
  • 直火の風味が出ない
  • 200V工事が必要な場合も
本体: 7万円〜25万円
月額: 1,500円〜3,000円
📊 項目別の詳細比較
比較項目
🔥 ガスコンロ
⚡ IH
調理性能
強火調理が得意
火力調整は直感的
温度管理が正確
弱火〜中火が得意
安全性
火災リスクあり
立ち消え安全装置付き
火を使わない
自動OFF機能充実
お手入れ
五徳の掃除が大変
油汚れが付きやすい
フラットで拭くだけ
汚れが溜まりにくい
光熱費
月3,000円〜6,000円
価格上昇傾向
月1,500円〜3,000円
太陽光でさらに削減可
初期費用
本体3万円〜
工事費ほぼ不要
本体7万円〜
電気工事が必要な場合も
使える鍋
すべての鍋が使える
土鍋・銅鍋もOK
IH対応鍋のみ
買い替えが必要な場合も
災害時
停電時も使用可能
(ガス供給があれば)
停電時は使えない
電気復旧まで待機
環境面
CO2排出あり
化石燃料使用
クリーンエネルギー
太陽光利用可能
☀️
太陽光発電との相性抜群!IHの大きなメリット
太陽光発電システムがある家庭では、発電した電気をそのまま調理に使えるため、IHは非常に相性が良い設備です。昼間の調理では実質的に光熱費ゼロで運用できるケースも多く、環境にもお財布にも優しい選択肢となります。
💡
自家消費で
光熱費削減
🌱
CO2排出を
大幅削減
📈
売電より
自家消費がお得
🏠
オール電化との
相乗効果

交換前に確認すべきポイント

IH交換前の最終チェックリスト
工事をスムーズに進めるために、事前に確認しましょう

📋 使い方: 各項目をクリックすると、チェックマークが付きます。すべて確認できたら、業者への依頼準備完了です!

  • 1 キッチンの寸法を測る
    設置スペースの幅・奥行き・高さを正確に測定しておくことで、適切なサイズのIHを選べます。
    ✓ 確認ポイント
    • 天板の幅(一般的には60cm、75cm)
    • 周囲の壁との距離(防火対策)
    • 吊り戸棚との距離
  • 2 200V専用回路の有無を確認
    ビルトインIHには200V電源が必要です。分電盤をチェックして、専用回路があるか確認しましょう。
    ✓ 確認ポイント
    • 分電盤に「200V」の表示があるか
    • キッチン専用のブレーカーがあるか
    • ない場合は新設工事が必要(追加費用)
  • 3 IH対応の鍋が揃っているか
    IHは専用の鍋が必要です。今お使いの鍋がIH対応かチェックし、必要なら買い替えを検討しましょう。
    ✓ 確認ポイント
    • 鍋底に「IH対応」マークがあるか
    • 磁石がくっつく鍋底か確認
    • アルミ・銅鍋は基本的に使えない
  • 4 お見積もりを取る
    工事費用や対応内容は業者によって異なります。2社以上を比較することもご検討ください。
    ✓ 確認ポイント
    • 本体価格・工事費・処分費の内訳
    • 保証期間とアフターサービス内容
    • 工事日程の柔軟性
  • 5 保証期間・アフター対応の確認
    メーカー保証だけでなく、施工業者の保証内容も重要です。トラブル時の対応を事前に確認しましょう。
    ✓ 確認ポイント
    • メーカー保証の期間(通常1〜2年)
    • 工事保証の有無と期間
    • 故障時の連絡先と対応時間
  • 6 電気容量の余裕を確認(ガスからの切替)
    ガスからIHへ切り替える場合、家全体の電気容量が十分か確認が必要です。容量不足なら契約変更を検討します。
    ✓ 確認ポイント
    • 現在の契約アンペア数(40A以上推奨)
    • 他の電化製品との同時使用を想定
    • エコキュート等があれば事前相談
チェック進捗状況
0%
🎉 すべてチェック完了!安心してIH交換を進められます

まとめ

IHコンロの交換は、寿命の目安が10年とされつつも、実際には家庭の使用状況により8年ほどで不具合が出始めることもあります。
ガス代の高騰や太陽光の普及により、今後はIHのメリットがより大きくなると考えられます。

本記事で紹介した寿命の判断基準、費用相場、工事の流れ、エラーコードの基礎知識を参考に、安心できる交換計画を立ててみてください。